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5月26日、作家・栗本薫さんが53歳で他界された。

栗本さんは僕が格別に思い入れのある物語「グインサーガ」の作者だった。
世界最長といわれる物語「グインサーガ」を初めて出版されたのが1979年、今から30年前。
僕が母の書棚でその作品に出会ったのが中学生の頃。今から20年前のこと。
今日まで不定期に出版される一巻毎を楽しみにしていた。
200巻までがんばるぞという作者の意気込みに辟易しながらも、すごく楽しみにしていた。
僕の母は現在63歳なのだが、グインに出会ったのが僕より数年前で、購読歴は僕よりも長い。「200巻」ということを知り、愕然としていた。闘病中の作者が先に死ぬか自分が先に死ぬか、いずれにせよおそらくこの物語のエンディングを読むことが出来ない可能性が高かったから。

栗本さんが乳がんに侵され、元気に生還され、そして膵臓がんに、今度は肝臓がんに・・・。
僕を初め読者達は、栗本さんの余命が長くないことを悟りながらも心のどこかで死ぬわけがないとも思っていたと思う。
グインのあとがきにはいつも読者に語りかけるように近況を報告されていた。もちろん病気のことも包み隠さずそれでいて冗談も交えながら、いつもグインへの意気込みを見せていらっしゃった。
読者は病状を知り、それでも栗本さんが大丈夫だというからには大丈夫なんだろうと信じていた。
それなのに、突然の訃報。
訃報を知ってショックだった。
半日ぐらいはショックだった。
半日経ってから、無念だと思った。
そして、栗本さんはもっともっと無念だったろうと思ったら、すごく悲しくなった。
もっと物語を紡ぎたかったはずなのに。

栗本さんは作者だからもちろんストーリーは頭の中では完結している。それなのに、物語が動く流れに逆らわずに、小説の中の登場人物が生きていく様を記録しているかのような感じでそれぞれのキャラクターが物語を作り上げていくことを楽しんでいるようなところがあった。
連載当初予定であった100巻で完結することも可能だったはず。それを200巻にまで延ばした栗本さんの気持ちが僕にはわかるような気がします。

20年もの間、126巻もの間、おつきあいしてきた。なんだかずっと一緒に走ってきたような錯覚。
まだまだがんばって欲しかったよ。
もっとダラダラと書いてほしかったよ。
あと何十年でも読んでいきたかったよ。

先生、お疲れ様でしたなんて言いませんよ。
グインが僕の心の中にある限り、先生が死んだなんて思いません。
先生、あなたのために、黄泉の国があることを願います。
そしてそこで思う存分ご自分のペースで好きな音楽や物語を作ってください。
いつか僕がそちらに行ったときまた楽しませてください。
今まで素敵な物語を与えてくださってありがとうございました。
ありがとうございました。
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前回にひきつづき、ここ数ヶ月で読んだ本、いっぱいあるんだけどテケトーにピックアップしてレビュー。

評価は☆5つで満点。



嗤う伊右衛門 (角川文庫)嗤う伊右衛門 (角川文庫)
京極 夏彦

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個人評価☆☆☆☆☆
毎度のことながら、京極夏彦には感服してしまう。
なんなんだろうこの人は。頭の中どうなってるのか見てみたい。
ストーリーは、お岩と伊右衛門の物語。この2人といえば四谷怪談の主人公なのだが、内容は四谷怪談とは全く違った展開で、2人の愛の形や時代背景などが興味深く表現されている。そしてミステリや怪異の一面も織り込まれている。
ストーリーテラーの役割として、小股潜りの又市という人物が配されているのだが、この人物のことはまた次に紹介する。
唐沢寿昭と小雪が主演で映画化もされている。実は小説を読む数年前にその映画を見たのだが、そちらの方は90%覚えていないので、もう一度見てみたいと思う。
個人的にはこの小説は超イチオシである。


巷説百物語 (角川文庫)巷説百物語 (角川文庫)
京極 夏彦

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個人評価☆☆☆☆
先述の小股潜りの又市という人物が活躍する短編集。
簡単にストーリーを説明すると、怪異に見せかけて悪者を懲らしめてしまうミステリ要素のある「必殺!仕事人」
一編一編が読み応えのある重厚な構成とストーリーである。
本作の続編には、直木賞受賞作『後巷説百物語』がある。


リアルワールド (集英社文庫(日本))リアルワールド (集英社文庫(日本))
桐野 夏生

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個人評価☆☆☆
5,6年前のヤマンバギャルが流行った時代の高校生が主人公のクライムサスペンス。
現在も起こる少年犯罪の見えそうで見えない犯行動機、そこに迫ろうとするという意味でおそらく表題の『リアルワールド』を桐野夏生は冠したのかもしれない。そしてこの物語が面白いところは、その見えそうで見えない少年少女の考察や人間関係を「リアル」に表現しているところだと思う。



I’m sorry、mama. (集英社文庫 き 16-2)I’m sorry、mama. (集英社文庫 き 16-2)
桐野 夏生

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個人評価☆☆☆☆
おっと、また桐野夏生。
『嫌われ松子の一生』という小説があったが、それに少し似ていると思った。
いや、ストーリーも人物構成も全く別物なのだ。でもなぜか似ていると思った。おそらく自己完結してしまう性格の女性が主人公というところが似ているのかもしれない。
主人公のアイ子は人の愛情を受け取ることを知らずに育ち、憎しみと衝動で犯罪を次々と積み重ねていく。
残虐で邪(よこしま)なクライムノベルではあるのだが、読んでいくうちに(あまりこういう表現は好きではないが、しっくりくる言葉)主人公の“心の闇”が見えてきて憐憫を誘う。誰よりも愛情が必要なのに、それに気づくこともなく愛情を目の敵にし、衝きあげる憎しみに耐えることができない女の物語である。



夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)
恩田 陸

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個人評価☆☆☆☆
本屋大賞受賞作。
恩田陸の作品で『MAZE』というのを以前読んで、人物設定もミステリ要素も中途半端で非常につまらなかった記憶がある。
でもこの作品は面白い。いや、面白いストーリーなのではなく、恩田陸の見せる世界観というか筆の巧さが面白く感じさせてくれるのである。
ストーリーはいたって単純。「歩行祭」という全校イベントで80km歩き続ける高校生が描かれているだけなのだ。ただ、主人公的な少年と少女のわだかまりが主要素になっていて、これが歩行祭で歩き続けるうち、徐々に融解されていく様がほろ苦くもあり、ほほえましくもある。決して大袈裟には表現せずに淡々と進行させていく作者の手法はすばらしいと思う。
本作は映画化されていて、いちおう観てみたけどあまりおもしろくなかった。絶対小説の方がおもしろい。




はい、ここまで。
今回はどれもおすすめの作品です。
ここ数ヶ月で読んだ本、いっぱいあるんだけどテケトーにピックアップしてレビュー。
評価は☆5つで満点。



イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
乾 くるみ

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個人評価☆☆☆
恋愛小説のようで、びっくり展開。最後の2行で今まで読んでいたストーリーが180度ひっくりかえる。「ん?え?えええっ?んん?おー!」ってなる。
ストーリー・構成はうまいがあまり読後感が良くない。



イン・ザ・プール (文春文庫)イン・ザ・プール (文春文庫)
奥田 英朗

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個人評価☆☆
短編集。
これの続編「空中ブランコ」が直木賞を受賞している。
かるーく読める。でも主人公のキャラが濃い。一読して主人公の名前を覚えているということは、作者のキャラを活かしきっているということだろう。そうなると当然、好き嫌いがキッパリ分かれる。僕は嫌いです。続編を読んでみようとは思わない。
読んでみたい人は、直木賞受賞作から読んでみた方がいいかもしれない。



光ってみえるもの、あれは (中公文庫)光ってみえるもの、あれは (中公文庫)
川上 弘美

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個人評価☆☆
川上 弘美にしてはめずらしく、男子の青春モノ。ただそれだけ。
でもインパクト薄い。本来なら☆1つ。個人的にこの人の文章が好きなので☆2つ。



月のしずく (文春文庫)月のしずく (文春文庫)
浅田 次郎

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個人評価☆☆☆☆
短編集。
中でも「琉璃想」がいい。いい。
さすが浅田次郎。この人の書く作品は淡くて好きだ。



床下仙人 (祥伝社文庫)床下仙人 (祥伝社文庫)
原 宏一

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個人評価☆☆☆☆
短編集。これもかるーく読める。1時間完結のドラマのような起承転結のはっきりした、ちょっとおもしろい物語。本題の「床下仙人」も奇想天外でおもしろいが物語としては「シューシャイン・ギャング」がいい。元気が出る。



魔王 (講談社文庫 い 111-2)魔王 (講談社文庫 い 111-2)
伊坂 幸太郎

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個人評価☆☆☆☆
伊坂幸太郎は全部読んでいるけど、これはちょっと異色。おおざっぱに説明すると「特殊能力・ファシズム・政治・日常」
あれ?全然説明できない・・・。これじゃ大仰だわ。
伊坂の作品は説明できない。とにかく読んでみて。続編「モダンタイムス」がハードカバーで発売中。



密やかな結晶 (講談社文庫)密やかな結晶 (講談社文庫)
小川 洋子

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個人評価☆☆☆
「博士の愛した数式」で有名な小川洋子の作品。この人はいつも静かな物語を書く。感情の起伏が激しくない登場人物たちで紡がれているのに、感動を与える。
記憶狩りによる静かな記憶の消滅が題材となっている。
作風は好きだが、この作品はあまりストーリーになじめない。




今回はここまで。
全体的に辛口レビューになってるけど、☆3つ以上は面白いと思った作品。
SeesaaBLOGの超人気ブログ「困ったときのベタ辞典」が書籍化出版されました!! 僕も早速購入。 『本を買おうとする手と手が触れ合う』というようなベタなシチュエーションもなく。 辞典風のステキな装丁です。 画像 566.jpg   画像 563.jpg カバーの手触りが心地よいです。購入したら確かめてみるべし。そしてカバーをチラッとめくって見るべし。金かかってますw 内容は、ブログを観て推して量るべし。ニンマリしてしまうおもしろさ。 加えて、新ネタも多数あり、なによりも読み易い! 時間がないときでもスラッと読めてしまう。朝のウンコタイム、通勤タイム、寝る前のひとときに読むも良し、恋人と肩寄せあい読むも良し。 世の中がいかに『ベタ』で成り立っているか、これを読めば痛感する。 例)「うちの子に限って・・・」「何年この仕事やってるんだ!」etc そしてまた逆に、いかに『ベタ』がありえないかを想像して楽しむこともできる。 例)「この泥棒猫!」「赤青どっちのコード」etc
ベタ辞典の詳しいデータはこちら 書籍名 困ったときのベタ辞典 著者名 アコナイトレコード編 出版社 大和書房 文中イラスト 杉山祐輔 ブックデザイン・カバー・シチュエーションイラスト 寄藤文平・坂野達也 ページ数 256P 総ネタ数 350以上(200以上新ネタ追加) 全9章構成 各章の最後に寄藤文平氏によるイラストページ アマゾンでも予約販売ができます http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479391185/249-6923359-9720311 少しでも楽しんでもらえれば最高に嬉しいです
camelくんとこから抜粋。 全国各書店でも販売されてますよ! すごいよね。マニアックな書店じゃなくて、全国どこでも買えるなんて。 でも できればアマゾンで買ってください。
そして粛清の扉を
黒武 洋

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今年文庫化されたのを見かけて、ハードカバーで発刊されたときに購読していたのを思い出した。 第一回ホラーサスペンス大賞受賞作である。選考委員は大沢在昌、桐野夏生、宮部みゆき。 大沢、宮部両氏に「問題作だ」と言わしめたほどの作品である。 ホラーといっても、怪物やオバケが出てくるわけでもなく、それほどグロくもない。 敢えて分類するなら、バイオレンス系クライムサスペンスノベルという分類がぴったりくると思う。 犯人が主人公。主人公が犯人。 被害者も犯人。 犯人VS犯人/被害者VS被害者/犯人VS被害者 という3つの視点で読むことが出来る。 復讐という名の狂気。そこに垣間見ることができる猟奇という名のまた狂気。 読む者はこの狂気に追われて一気に読了することになるだろう。 そして、この小説はそれを遡ること2年前に発刊されたある小説と批評された。 そのある小説とは・・・
バトル・ロワイアル
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そう。バトルロワイヤルである。 この2つの作品には生徒が複数惨殺されるという共通項がある。 そしてもうひとつ、重要な共通項「粛清」という大義名分である。 「粛清」とは何か―「正義」とは。「復讐」とは。「殺人の動機」とは。 どんな理由であれ、殺人は殺人なのである。大義名分などというものは虚構である。 読後には「これでよかったのか?」と自問自答することになるだろう。
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